始め善ければ・・・

湯川 千恵子

今日の心の糧イメージ

私は傘寿の坂を超えてもう無理はできませんが、日常生活を自力でできることを感謝して、この満ち足りた幸せな気持ちはどこからくるのかと考えました。そしてそれは人生初期の頃、「愛と真理の源」とでもいうべき神の存在を知ったからだと。そしてその神が慈しみ深く私たち人間を「真の幸せ」に招くために御子イエス・キリストによって示されたその道を、迷いながらも夫と歩んできたからだと思い至りました。

長女をカトリックの幼稚園に入れたのが縁でキリストの教えに触れた夫がまず洗礼を望み、「折角だから奥様もご一緒に!」との神父様の言葉に、「とんでもない」と反発した私ですが、その「真の幸せ」への道の奥から輝く光に引き寄せられて夫と2人の幼児、一家で洗礼を受けました.キリストと共に神に近づく人生の旅が始まったのです。

未熟な母で心配性の私は、4人になった子どもの育児や生活に悩みましたが、神に祈る事を知ったお陰で救われました。家族や友人の困難には神の助けと導きを祈り、良い時には感謝の祈りを捧げ・・・.こうして何事も神のみ旨に委ねて希望することができて楽天家になりました。そして迷信や因習に囚われることなく、自由な気持ちで安心して生きられるようになったのです。

「神を知るは智恵の始まり」(参:箴言1.7)、また「真理はあなたを自由にする」(ヨハネ8・32)。これら聖書の言葉を実体験しています。

「人生はこの世だけではない」ことも、夫の死を通して悟りました。チャンスには挑戦しなくては・・・と私の背を押した夫は、今も神のいのちと共に天国に生きており、神の祝福を祈ってくれています。それが信じられるので私は満ち足りて幸せなのです。

この信仰の喜びを1人でも多くの人に伝えたくて祈る毎日です。

始め善ければ・・・

阿南 孝也

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長崎の大浦天主堂は、江戸時代末期、パリミッションの宣教師たちによって、26聖人の殉教地である西坂の丘に向かって建てられました。

伝統的なヨーロッパの聖堂は、キリストに敬意を払い、ユダヤ地方、すなわちヨーロッパから見て東向きに建てられました。「東方」を表す「オリエント」という言葉が、キリストへ向かう「正しい向き」という意味を持つようになったのです。

毎年4月、真新しい制服に身を包んだ新入生を迎えます。良いスタートを切って充実した学校生活を送ってほしいとの願いを込めて、オリエンテーションを行います。オリエンテーションは、新入生が、オリエント、すなわち正しい方向に歩みを始めるよう導くためのものです。私は校長として「人の痛みに気づくことのできる人に、学ぶ楽しさを知る人になってください」と話をします。よい学習習慣を身につけ、学校行事やクラブ活動に積極的に取り組み、神様からいただいた能力を磨き伸ばしてほしい、試練に出会ったときも、真正面から受け止めて乗り越えてくれることを期待しています。

マルコによる福音書によりますと、イエス・キリストの福音宣教の第一声は、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(1・14)でした。「悔い改め」は、新約聖書が書かれた原語のギリシア語では「メタノイア」、これは、「考えや判断の視点や立場を移す」という意味の言葉です。西向きから東向きへ180度転換すること、自己中心の考えを改めて、神様を中心に据えることです。

新入生が、人の喜びを自らの喜びとし、互いに愛し合うことのできる豊かな心を持った青年として成長してほしい、心からそう願っています。


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