神のはからい

マクドナル 神父

今日の心の糧イメージ

2016年の私にとって忘れられない出来事は、キリシタン大名、高山右近の列福調査委員長であった溝部脩名誉司教が「心のともしび」テレビ番組に出演してくださったこと、そして、右近の列福決定が発表されるや、あっという間に天国へ旅立って行かれたことでした。

2011年に引退された溝部司教は、人生の最後も若者たちのために働きたいと、4年前より、京都で望洋庵を開かれ、最初の年は約2千人もの若者たちが司教を訪れたといいます。

そんな司教に、2015年の夏、右近の列福に向けてのお話を2回ほどして頂きたいとお願いすると、司教は快諾してくださり「では6回しましょう」と、さっそく3ケ月の予定で、8月、2回分のお話を収録しました。ところが収録後、思いがけなく司教から「明日、検査入院する」と聞かされ、まもなく、癌を患っていると知らされたのです。

即、今後の収録は中止しようと。ところが、何がなんでも完結したいという司教の堅い決意を知り、最終録画の日まで、キャンセル、または延期をしながらも、年を越した1月半ば、6回のお話を撮り終えることが出来ました。最終日は、原稿を準備する力さえもなかったのですが、カメラの前の司教は、そんな様子は微塵もなく、崇高ささえ感じられるほどでした。

私は思います。司教が人生最期に、命を懸けて私たちのために高山右近のすべてを伝えるべく番組に出演してくださったのは、神のはからいであったのだと。今、時を超えて、偉大な神のしもべ、高山右近と溝部司教は天の国で喜びを分かち合っていることと思います。

高山右近の列福と溝部司教のお話が、すべての人にとって生きる勇気、励ましとなり、新年が意義ある年となりますように祈りつつ。


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