始め善ければ・・・

熊本 洋

今日の心の糧イメージ

「始め善ければ、終わりよし」、そして「終わり善ければ、全てよし」準備万端整えて始めたことは、最後までうまく行くというわけですが、現実は、口で言うほど簡単なことではありません。

特に、この21世紀、天変地変、激動の世の中、一瞬、一瞬、何が起こるか解らない、予測困難な、恐ろしい不安な時代になっています。それに、超高齢社会となって、個人的にも、人それぞれ、諺にあるように「歳々年々、人、同じからず」で、80歳、90歳、100歳まで、年相応に、いかに生きるべきか、だれしも、考えあぐんでいます。

有名な論語には、「50にして天命を知る」「70にして心の欲するところに従えども、わくをこえず」と、もっともらしいことを説いていますが、2千年以上の昔、いくら賢人であっても80歳以降のことなど、毛頭、考え及ばなかったに違いありません。進化進展の激しい今日、大げさでなく、一瞬、一瞬、何かに変化が生じ、新しい事態が起っています。今、この瞬間にも、警戒心は欠かせません。誠に気の許せない時代であります。このような事態に、人々は、どのように対処すればよいのでしょうか。悠長なことかもしれませんが、あらためて、先人たちの叡智を深く顧みるとともに、現代のあらゆる科学知識と人類の新たな知恵で、難局打破を期したいものであります。

これは、西暦前8世紀、旧約聖書・預言書の著者、イザヤの言葉であります。人類が愛によって結ばれてこそ、初めて、人々は「剣を打ち直して農具の鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」(2・4)

始め善ければ・・・

遠山 満 神父

今日の心の糧イメージ

近年、アメリカ合衆国で起こった有名な出来事の1つに、ハドソン川の奇跡と呼ばれる飛行機の不時着水事故があります。事故当時は真冬で、気温氷点下六度、水温2度であったにも拘らず、乗員乗客全員が生還したことで、「ハドソン川の奇跡」と呼ばれるようになりました。当時のアメリカは、ブッシュ政権末期、オバマ政権が始まろうとしていた時期で、何かアメリカ合衆国が元気を取り戻せるような出来事を、人々は渇望していたと言います。そのような時に、時宜に叶うかのように起こったのが、この出来事でした。恐らく神様が、オバマ政権の初めを飾る為に、プレゼントして下さった出来事だったのかもしれません。

ところで、私達は今、年の初めを迎えていますが、初めを飾るにあたって、何か喜びの便りがあるでしょうか。ハドソン川の奇跡のような出来事は、たとえ望んだとしても、容易に起こるような出来事ではありません。むしろ私達の多くは、前年の事、あるいは過去の事を引きずったまま、新年に入っているのではないかと思います。前年に大きな失敗をしていたら、周囲から向けられる先入観の籠った視線が気になり、新しい心で新年を迎えるのが難しくなったりします。また、その失敗によって自分自身の心が傷ついている場合、同じように新年を新しい心で出発する事が難しくなります。新年を新しい心で出発する為には、過去の事を水に流し、新しい眼で自分を見てくれる存在、自らの失敗で傷ついている心を癒してくれる存在に出会う事が何としても必要です。

聖書は、私たちにとっての善き便りを、イエス・キリストと言っています。この方こそ、私達の心を癒し、私たちを新しい眼で見て下さる方なのです。


前の2件 2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12