▲をクリックすると音声で聞こえます。

まわり道をしても・・・

橋本 勲 神父

今日の心の糧イメージ

青森県の木村秋則という方が10年にもおよぶ苦心惨憺の末、自然栽培に辿りついたお話しはとても感動的です。

この方は「奇跡のリンゴ」作りで知られるようになりつつありますが、野菜でも米でも、化学肥料を使わずに栽培していると、最初は雑草がはびこり、肝心の野菜や米を食いつぶしそうになると言います。

ここで大抵の人はあきらめて、手っ取り早く雑草を取り除こうとするのですが、そこをじっとがまんして、じっくりと自然の営みを凝視し続けていると、やがて雑草は主役に道を譲り、逆にこれを生かし始めるというのです。

自然栽培の基本は自然をとことん見つめることという、そのことばはとても重いものがあります。

人間はせっかちで手っ取り早く実りを得たいので、邪魔者を取り除き、ねらいの作物だけを直線的に育てようとするのですが、自然がそのふところに抱え込んでいるいのちは、どうやら別のまわり道を指し示しているようです。

こんな話を耳にすると、つい人間の自然栽培をも連想してしまいます。

かつて子供が多かった時代、兄弟げんかをしたり、仲直りをしたり、親がいちいちかまってやらなくとも、自然に人間関係の在り方を自分たちで身に付けていったものです。

現代では、こんな自然栽培的子育てをするには、あまりにも子供の数が少なく、その上核家族化が進んで、いよいよ人手不足になってしまいました。

しかしそれでも何らかの方法はあるのではないでしょうか。

たとえば、近所付き合いを少しでも広げて、人間のつながりを広めて行くとか。

まわり道をするようでじれったいかもしれませんが、人間も大自然の一員として、自然のいのちの秘策をもっと学び、取り込んでもよいのではないでしょうか。