第111課 イエズスとピラト(ヨハネ 18・28~19・16)

 夜中に行なわれた裁判でイスラエル人の大祭司たちはイエズス様に死刑の宣告をしましたが、ローマ皇帝の代理者である総督ピラトの許可がなければ、それを執行することはできませんでした。ですから次の朝、彼らはイエズス様をピラトの官邸へ連れて行きました。

 前の晩の裁判でイエズス様がご自分が神であることを述べられた為、大祭司たちは冒涜の罪でイエズス様に死刑の宣告をくだしましたが、ローマ人であるピラトはそのような宗教的な問題に全く関心がありませんでした。そこで、彼らはイエズス様がご自分が王であるとおっしゃっているので、ローマ皇帝の敵であると訴えたのです。

 ピラトがイエズス様に「お前がユダヤ人たちの王なのか」と尋ねると、イエズス様は、「わたしの国は、この世に属していない。・・・わたしは、真理について証しをするために生まれ、また、そのためにこの世に来た」とお答えになりました。イエズス様は王であることを否定なさいませんが、政治的な王ではなく、霊的な王、真理の王であることを説明なさったのです。

 イエズス様の話を聞いたピラトはイエズス様がローマ皇帝の敵ではないことを知り、イエズス様を釈放したいと思いました。しかし、ピラトは大祭司たちを恐れていましたので、罰を与えるためにイエズス様を兵士たちに渡しました。兵士たちは長い間イエズス様をむちで打ち、そして茨で冠を作り、それをイエズス様の頭にかぶせてイエズス様をあざけりました。

 そのあとピラトは、血だらけになったイエズス様の姿を大祭司たちに見せましたが、彼らはその姿にあわれみを感じるどころか「十字架に付けろ、十字架に付けろ」と叫びました。ピラトは益々大祭司たちがこわくなり、イエズス様には罪がないとわかっていながら十字架に付けさせるために、イエズス様を大祭司たちに引き渡しました。

(つづく)