第93課 タラントのたとえ話(マタイ 25・14~30)

 イエズス様はエリコの町から出てエルサレムヘ向かわれた時、しもべたちに多くの財産を預けて旅に出かけた主人のたとえ話を弟子たちになさいました。

 その主人は、1人のしもべに、5タラントのお金、もう1人に2タラント、もう1人に1タラントを預けました。1タラントは今の何百万円の価値があったようですから、相当の金額を預けたわけです。

 主人の留守の間に5タラントと2タラントを預かった人は、そのお金をつかって熱心に商売をして2倍にふやしました。しかし、1タラントを預かった人は、主人の財産をふやす努力を何もしないで、ただ預かったお金を埋めてしまいました。

 主人が旅から帰って来て、決算を求めた時、最初の2人のしもべは、ふやして2倍になったお金を主人に渡しましたが、3番目の人はもとのままの1タラントだけを返しました。

 すると主人は最初の2人に「よくやった。善良で忠実なしもべよ。・・・おまえの主人と喜びをともにしなさい」と言いました。しかし、3番目のしもべには、「なまけ者の悪いしもべよ」とどなりました。そして他のしもべたちに「この役に立たないしもべを、外の闇に投げ出せ」と言いました。

 たとえ話の中のタラントはお金を意味しましたが、イエズス様がこのたとえ話をなさってから、このタラントという言葉は世界中のすべての国で、神様から与えられた能力、つまり、才能を意味するようになりました。

 イエズス様はこのたとえ話で、永遠の救いを得るためには神様から与えられた能力を生かし、それをふやすように努めなければならないと教えられました。そして、そうしなければ最後の審判の時に、3番目のしもべのように「なまけ者の悪いしもべ・・役に立たない者」と言われて、永遠の闇に投げ出されるであろうとイエズス様はおっしゃったのです。

(つづく)