第92課 ザアカイの回心(ルカ 19・1~10)

 イエズス様は、目の見えないバルテマイをいやされてから、エリコの町にお入りになりました。エリコにはザアカイという徴税人の頭が住んでいました。彼は背が低いので、大勢の人々に囲まれておられるイエズス様を見ることができませんでしたので、前の方に走って行き、桑いちじくの木に登りました。

 イエズス様がそこへ来られると上を御覧になって、「ザアカイ、急いでおりなさい。きょう、わたしは、あなたの家に泊まりたいのだ」とおっしゃいました。ザアカイは急いで木からおりて喜んでイエズス様を迎えましたが、それを見た人々は大変驚きました。なぜなら、ザアカイは徴税人の頭としてローマ人に協力し、貧しい人々から多くの税金を取り、自分は金持になっていましたので、罪びとと思われていたからです。

 ところがイエズス様には、ザアカイの家をご自分の泊まる所にお選びになった理由がありました。それはザアカイを救うためでした。イエズス様が彼の家に入られた時、ザアカイは回心させられ、「わたくしは財産の半分を貧しい人々に施します。わたくしが、もし、だれからかだまし取っていたら、それを4倍にして払いもどします」と言いました。

 するとイエズス様は、「きょう、この家に救いが訪れた。・・・人の子(私)が来たのは、失われたものを捜して救うためである」とおっしゃいました。

 イエズス様に出会うまではザアカイは財産を貯えることだけを考えていましたが、イエズス様に出会った時、彼の心に変化がおこり、ザアカイは救われました。

 その前にイエズス様は金持の人は救われにくいと弟子たちにおっしゃいました。しかしザアカイのように自分の財産を人々のために使うならば、金持の人にも救いの道は開かれるのです。

(つづく)