第78課 マルタとマリア(ルカ 10・38~42)

 イエズス様はエルサレムに近づかれた時、ベタニアという町にお入りになりました。そこでラザロとマルタとマリアの3人の兄弟がイエズス様を彼らの家に招待しました。

 マルタはすぐに食事の準備を始めましたが、マリアはイエズス様の足もとに座って熱心にイエズス様の話を聞いていました。それを見たマルタは腹を立て、イエズス様に近寄り、「主よ、わたくしの姉妹はわたくし一人にもてなしをさせておりますが、あなたはなんともお思いになりませんか。手伝うように言いつけてください」と言いました。

 するとイエズス様は「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに心を配り、思い煩っているが、必要なことは、ただ一つだけである。マリアは、その良いほうを選んだ。それを彼女から取りあげてはならない」とお答えになりました。

 この話を読むと、マルタがかわいそうに感じます。マルタは一生懸命に働ているにもかかわらず、イエズス様に叱られたからです。しかし、ゆっくりと考えてみますと、どうして叱られたかということがわかると思います。マルタの態度がよくなかったからです。

 お客様つまりイエズス様のために食事を作ることはもちろんいいことです。しかし、マリアがしていることもいいことでした。つまりマルタとマリアは別々の方法でイエズス様を歓待していたのです。マルタはそのことを理解し、喜んで一人で食事の準備をすべきでした。

 イエズス様の弟子としての生活を送るには、二つのこと、つまり、熱心に祈ることと、熱心に働くことが必要です。マリアの行為は祈りを示し、マルタの行為は働きを示しています。残念ながら、私たち現代人はマルタのようにいろいろのことに心を配っても祈りをすることを忘れがちです。この聖書の話には大事な教訓が含まれていると思います。

(つづく)