第62課 イエズスは水の上を歩かれる(ヨハネ 6・14~21)

 ガリラヤ湖のほとりでイエズス様が5つのパンと2匹の魚をおふやしになって、5000人以上の人々を満腹させられた奇跡を見た人は、「正にこの方こそ、この世に来られるはずの預言者だ」と言って、イエズス様を王様にしようとしました。しかし、イエズス様は人々に霊的な救いを与えるためにこの世に来られたのであり、政治的な使命はありませんでしたので、王になることをお断りになりました。そして群衆を解散させ、12人の弟子たちには舟に乗るように勧められ、ご自分は祈るために山にお登りになりました。

 夜になって、弟子たちの舟が湖の中ほどまで行った時、イエズス様は水の上をお歩きになって弟子たちのところへ行かれました。弟子たちは湖の上を歩いておられるイエズス様を見て、恐ろしさのあまり「幽霊だ」と叫びました。

 イエズス様は声をかけられ、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」とおっしゃいました。ペトロはイエズス様の声を聞いて、「主よ、ほんとうにあなたでしたら、『水の上を歩いて来い』とわたくしに命じてください」と言いました。イエズス様が「来なさい」とおっしゃると、ペトロは舟からおりて、水の上を歩いてイエズス様のところへ行きました。ところが、強い風が吹いていることに気づいて恐れを感じたペトロは、沈み始めました。そして「主よ、助けてください」と叫びました。

 イエズス様は手を伸ばしてペトロをつかまえられ、「信仰の薄い者、なぜ疑ったのか」とおっしゃいました。それから二人が舟に乗り込むと風はおさまりました。

 舟に乗っている弟子たちは、この奇跡を見て、「あなたはまことに神の子です」と言って、イエズス様の前にひれ伏しました。

(つづく)