第35課 義に飢えかわく人は幸いである、
       その人は満たされるであろう(マタイ 5・6)

 「義」というのは正義の義で、イエズス様がおっしゃった「義に飢えかわく人」というのは、正しい生活を送るように努める人のことです。別の聖書には、このイエズス様のみ言葉は「神様のみ心にかなう生活に飢えかわいている人々は幸いである」と翻訳されています。これはイエズス様が教えられたみ言葉の意味をよく表わしていると思います。

 神様は一人一人に良心の声によって善悪の区別を教えられ、悪を避け善を行うようにお命じになります。ですから良心の声に従って正しい生活を送る時に、人は神様のみ旨にかなっているのです。そのことを望んで正しい生活を送るように努める人は満たされると、イエズス様はおっしゃいました。どのようなもので満たされるかと言いますと、心の平安と精神的な幸せだと思います。

 良心の声を無視して悪いことをする時、良心の呵責を感じて人の心は乱れ、心の平安は失われてしまいます。しかし、良心の声に従って悪いことを避けて善いことをする時には、心の平安は保たれ、幸せな感じがします。それは、そのような時には神様のみ旨にかなっているので精神的に人は神様と結ばれているからです。いつもこのような生活を送るように努める人は、今の生活において幸せになれるだけでなく、後の世においても永遠の幸福を経験し、完全に満たされるのです。その意味でイエズス様は「義に飢えかわく人は幸いである」とおっしゃったのであります。

(つづく)