第34課 柔和な人は幸いである、
       その人は地を受け継ぐであろう(マタイ 5・5)

 簡単に言いますと、イエズス様がおっしゃった「柔和な人」というのは、隣人を愛する人のことを意味すると思います。人々を愛するから、できるだけ人々に親切にし、誰にも迷惑をかけないように注意し、いつも周りの人々を喜ばせるように努めるのです。そうすることによって、その人はだんだんとやさしい柔和な人になります。

 「柔和な人」は弱い者だとよく思われていますが、そうではないと思います。人々に対する愛を実行する時に、自分の欲望とわがままを押さえなければならないからです。おこりたい時におこらないように努力し、いやなことがおこった時に反発しないように努めなければならないのです。そうすることによって、その人はすばらしい精神的な力を持つようになります。つまり自分自身を支配することができるようになるのです。

 イエズス様ほど強い人はおられませんが、弟子たちにご自分の模範にならうようにお勧めになった時、ご自分の強さについては何もおっしゃらず、ただご自分の柔和を強調なさいました。「わたしは心が柔和であり、謙遜であるから・・・わたしの弟子になりなさい」とおっしゃいました。(マタイ11・29)

 ご自分の模範にならって柔和になる人は幸いであり、地を受け継ぐとイエズス様はおっしゃいました。「地を受け継ぐ」というのは、「柔和な人」は後の世において幸せになるだけでなく、今の世においても幸せになるということを意味すると思います。「柔和な人」は人々を愛すると同時に人々に愛されるからです。

(つづく)