第30課 手の不自由な人(マタイ 12・9~14)

 イエズス様がガリラヤに帰られてから間もなく、もう一度同じ問題がおこりました。

 ある安息日にイエズス様が会堂にお入りになった時、片手の不自由な人にお会いになりました。その人を見たファリサイ派の人たちは、イエズス様を試みるために「安息日に人をいやすことは許されているか」と尋ねました。するとイエズス様は「あなたがたに尋ねるが、安息日に許されているのは善を行うことか、悪を行うことか、また、命を救うことか、滅ぼすことか」とおっしゃいました。それから、たとえで「あなたがたのうちのだれかが一頭の羊を持っていて、それが安息日に穴におちたならば、つかんで引きあげてやらないだろうか」とお聞きになり、「人は羊よりはるかに大切ではないか。だから、安息日に善をすることは許されている」とおっしゃいました。

 イエズス様は、手の不自由な人に、皆のまん中に立つようにお頼みになり、「手を伸ばしなさい」とおっしゃいました。その人が不自由な手を伸ばすと、その手は急にもう一方の手のようによくなりました。

 その時、ファリサイ派の人たちは、イエズス様が奇跡を行われたことを否定することができませんでしたし、イエズス様がおっしゃった言葉に何も答えることができませんでした。しかし、その時から彼らはイエズス様を殺す機会を待つようになりました。

(つづく)