第29課 麦畑(マタイ 12・1~18)

 イエズス様はエルサレムから弟子たちと一緒にガリラヤへお帰りになった時、途中でガリラヤの南の方の麦畑をお通りになりました。その日は安息日でしたが、弟子たちはお腹がすいていましたので、道端の麦の穂をつんで食べ始めました。

 一緒に歩いていたイスラエル人の宗教指導者であるファリサイ派の人たちは、それを見て怒り、イエズス様に向かって「ごらんなさい。あなたの弟子たちは安息日に許されていないことをしています」と言いました。

 その人たちが神様のおきての目的と精神を忘れて、神様のおきてに対して間違った態度を取っていることを証明なさるために、イエズス様は旧約聖書から実例をお引きになって説明なさいました。それは、すべてのイスラエル人が尊敬していたダビデ王と、そのお供の者たちが、食べ物がなくて飢えていた時に、神殿に入って、祭司以外の人々が食べてはいけない供えもののパンを食べたということです。

 つづいてイエズス様はもう一つの実例をお引きになり、ファリサイ派の人たちに向かって「祭司は安息日に神殿において安息日を破っても罪にならないと、律法にあるのを読んだことはないのか」とお聞きになり、ご自分をさして「神殿よりも偉大なものがここにいる」とおっしゃいました。それからイエズス様は旧約聖書に書いてある神様のみ言葉を引用して、「もしあなたがたが『わたしが望むのはいけにえではなく、あわれみである』とはどういう意味であるかを知っているならば、罪のない人々をとがめなかったであろう。人の子(私)は安息日の主なのである」と仰せになりました。

 そして結論として、「安息日は人のためにもうけられたのであって、人が安息日のためにあるのではない」とお話しになったのであります。

(つづく)