第23課 ハンセン病の患者(ルカ 5・12~16)

 イエズス様がある町にお入りになると、一人のハンセン病の患者がイエズス様に近づき、「主よ、お望みならば、あなたはわたくしを清くすることがおできになります」と言いました。

 当時ハンセン病は大変恐ろしい病気とされていて、患者は一般社会から完全に疎外され、離れた所で住まなければなりませんでした。しかし、その時イエズス様はその患者に近づかれただけでなく、直接本人に手をお触れになって、「わたしは望む、清くなれ」とおっしゃいました。するとすぐその人の病気は完全に治り、体は元気な人と同じようにきれいになりました。

 それからイエズス様はその人に向かって、この奇跡のことは誰にも言わず、ただ祭司のところへ行って清められたという証明をもらうようにとお命じになりました。

 イエズス様は苦しんでいる人々にお会いになる時、その人たちに対する愛のために度々奇跡を行われましたが、イエズス様がこの世においでになったのは、奇跡を行うためではなく、人々に霊的な生命をお与えになるためでした。人々がただ奇跡を見たいからとか、病気を治してもらうためだけに集まってくるなら、ご自分の霊的な使命を理解してもらうことができないと思われたイエズス様は、奇跡的においやしになったハンセン病患者にも、このことを人々に言わないようにとおしゃったのです。

 しかし、その人は喜びのあまり、自分がいやされたことを直ぐに周りの人々に話しました。そのため、方々から大勢の人々が集まってきましたので、イエズス様は、祈るために人々から離れた所へ退かれました。

(つづく)