先生を感服させた

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 Tさんは東京に住むある会社の社長で、人々によく知られ尊敬されている。彼は60歳だが、何事においても精力的で熱意の持ち主でもある。

 数年前のこと、彼は世界旅行をする計画を立て、私の友人のスミス氏について特別の英語の勉強することにした。3ケ月の間、 Tさんは毎週朝2回、スミス氏を車で迎えに行った。

 スミス氏が車に乗るとすぐ、レッスンが始められた。Tさんは時間を無駄にしたくなかった。車の中で、ビルの廊下でも、そして事務所の中で1時間、彼は先生と英語で話し続けた。

 初めの頃、スミス氏は、間違いを直すのを遠慮した。しかし、Tさんは「このレッスンの目的は、私の英語を上達させることです。もし、私が間違ったら教えてください。同じ文章を100回繰り返す必要があれば、やります。私は正しく言いたいのです」と社長は言った。

 3ケ月の間、社長は勉強を休んだことがなかった。旅行に出かける前の最後の週末、彼はスミス氏を山のホテルへ招待した。先生への感謝のしるしということだったが、これもまた、英語の最後のテストのためであった。

 彼は外国旅行者が泊まるホテルに予約した。そこの従業員はすべて英語を話す。3日間、彼は日本語を使わなかったのである。「今一生懸命やれば、外国へ行った時、楽でしょう」と彼はスミス氏に語った。

 Tさんが旅立つ日、スミス氏は感嘆の心で見送った。語学学校の校長として、彼は多くの生徒に教えてきたが、勉強に注ぐ熱意という点で、Tさんほど彼を感服させた生徒は、今までなかったということである。