幸福はお金で買えない

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 フランク・ボイレスは、8才の時からずっと、プロのフットボール選手になりたいと思っていた。彼は研究と練習に励み、彼が、大学の4年の時、とうとう良いチャンスがやって来た。アメリカの大きいプロチームの代表者が、契約を申し入れたのである。給料は、彼が望んでいたよりはるかに多かった。

 ボイレスは、契約を見てすぐにサインをしかけたが、心の中で「待て」という声がした。彼は2、3日考えたいと言った。と、そのあと、ある学校が、コーチになって欲しいと言ってきたのである。プロチームの契約に比べると、給料は少ないが、彼にとってコーチは単なる仕事ではなく、天職に思えた。青少年の生活に影響を及ぼし、導く機会になるからである。

 ボイレスは、たくさん給料をもらうだけでは、人生で満足が得られないことを知っていたのである。彼は、自分の仕事に目的が欲しかった。そのために、給料の安いコーチの仕事を引き受けることにした。

 アーカンザス大学のフットボールチームのヘッドコーチとして、彼は、長い間、若い学生を訓練しながら味わった充実感を、熱心な口調で語っていた。高い給料があっても買えないような幸福感を、彼の"天職"がもたらしたのである。

 「若い人たちが、単に金銭上の報酬を考えて仕事を選ぶのは悲しいことです。」とボイレスは語り、さらにこう言っていた。「それはただの仕事であって、天職ではありません。それは、仕事から何かをとるか、仕事に何かを注ぎ込むか、どちらを重く見るかで決まるのです。」