生前ハヤット神父が書いたお話「太陽のほほえみ」(英語と日本語)を、
2015年5月掲載分から2021年3月掲載分まで保存しています。どうぞご覧ください。

ハヤット神父
ハヤット神父

 

人間の持つ能力とは・・・

Smile of the Sun - 太陽のほほえみイメージ

 北海道に住む18歳の少年が、最近、次のような手紙を新聞社宛に出した。

 「僕は、今年の春大学受験に失敗した学生の一人です。今は予備校に通って、一生懸命勉強しています。一般の人たちは、僕のような学生のことを、恥ずかしくて人の顔がまともに見られない哀れな落伍者だと思っているようです。」

 「しかし、それは間違いです。僕は予備校の寮に住んでいますが、たくさんの友だちができました。彼らは明るく快活で、希望にあふれ、陽気で勉強家、そして常に未来を見つめています。」

 このような言葉を聞くと、さわやかな気持ちがする。この青年の大学への入学は遅れたが、彼が人生の落伍者になることはないであろう。彼の前途には、大成功のうちに1回で合格した学生が持つよりも、もっと多くの可能性があるかもしれない。

 今から約200年前、イタリアのある夫婦は、息子に言葉を教えてもだめだとわかって絶望に沈んだ。子供は4歳になるのに、まだ話せないのである。両親は子供の知能程度が低いのだと思った。しかし、時期が来ると少年は知的能力を現すようになり、やがては、科学の分野で偉大な貢献をした。彼はアレッサンドロ・ボルタである。彼の名前は、電気の単位を示す言葉として、世界中の主な国語の中に取り入れられた。ボルトがそれである。

 人間の持つ何かをやりとげる能力というものは、人によって違う。すべての人の能力が、同じ早さで、また同じ方法で伸ばされるべきだと考えるのは間違いだと思う。