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いただく命

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

わたしは、これから結婚式を教会で挙げられるカップルたちのために、「現代結婚講座」を開いています。スタッフの先生方は、それぞれの専門の立場から、人がより幸せになるのは、どういう知恵が必要かを教えておられます。

わたしは、旧約聖書の創世記2章にある「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう」(18節)と言われた神が、女と男を創造されたという言葉を引用しながら、結婚観について話していますが、この箇所の前に、「神が大地の塵で人を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。」(7節)という言葉があります。これは重要な言葉ではないでしょうか。

人の体は、物質から造られています。だから、死ねば体は灰になります。けれども、死ぬとは命が体から離れて、霊の世界に帰ることですから、命は不滅です。つまり、繰り返しますと、人の体は神によってこの物質の世界の材料から造られましたが、命そのものでいらっしゃる神は、人を生かすために、「命の息」を人の鼻に吹き込まれました。ですから、人は生きるようになったのです。この場合の「息」というのは、語源的にいっても「霊」と同じです。

人の身体は、父と母の精子と卵子が結合してできあがります。けれども、神が直接に人の体に霊魂を吹き込まれたからこそ、人はひとりの人格として生きるようになったのです。ということは、わたしたちの命は、神さまから直接に預ったものなのです。だからこそ命を大切にしなければならないのです。

その訳を家庭や学校や教会などでしっかり教えないと、いくら「命を大切に」と掛け声を挙げたところで、不毛に終わるでしょう。