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自分らしく

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

北の雪国に生まれ、育ったわたしは、寒さは大嫌いですが、雪は好きです。粉雪がしんしんと降っていると、周りはまったく静寂になります。この静けさの中にいると、昔、有名な雪の博士が小学校にいらして、講演で言われたことが思い出されます。

それによると、雪のひとひらの結晶はみな違い、独特の美しさを持っているというのです。同じ結晶は決してないとのこと。人間もみな独自の美しさを持っていて、誰ひとりとして他の人と同じ人はいないのです。

ですから、人はみな、自分独自の美しさを認め、それを愛し、伸ばしていかなければならないでしょう。個性を伸ばすというのはこのことです。

他の人は、お手本や模範になるかもしれませんが、決してその人の真似をしてはなりません。若いとき、わたしは偉人伝や聖人伝を読んで、その真似をしようと考えたこともありますが、大失敗でした。それより自分らしく生きようと決めました。

バラはバラらしく、スミレはスミレらしく、ナズナはナズナらしく咲くように、わたしはわたしらしい花を咲かせることではないでしょうか。勉強好きな人は勉強すればよく、運動の好きな人は運動をすればよく、芸術が好きな人は作品を作ればいいでしょう。

わたしは祈りが好きだったので、修道院に入りました。また、本屋の息子で育ちましたので、炬燵に入って本を読むのが大好きでした。

自分らしさを見つけるには、まず好きなことが何かを知ることです。次に何が出来るかを探ります。最後に何になり、何をやりたいかを知ることです。これは、就職ガイダンスの時にも、学生に話したことでした。

要するに、自分の適性を見つけることです。