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始め善ければ ・・・

新井 紀子

今日の心の糧イメージ

私たち夫婦が北海道へ移住し、暮らし始めて一番困ったことは、運動不足になったことでした。これは予想もしない大きな誤算でした。大自然の中で暮らすのですから運動不足など無縁のことだと思っていました。

私たちの家は森の中にあります。お店や郵便局までは10キロ以上あって、歩いていくと日が暮れてしまいます、どこへ行くにも車で移動せざるを得ません。ウォーキングでなくてドライビングです。結果、運動不足になりました。

私たち夫婦は何か運動を始めようと考えました。

「横浜でしていたように、テニスはどうかしら」と私は提案しました。「いやどうかな、1年の半分は雪が降ってできないよ」と夫。探してみると、近くの公民館で体操教室がひらかれていることがわかりました。

 

2人で見学に行きました。すると、1メートル位のストレッチポールを使う体操でした。珍しいコアトレーニングというもので、身体の芯、体幹を鍛える体操でした。私たちは見学だけのつもりでしたが、コーチから一緒にやってみましょうと勧められました。ポールに寝転がって片足を上げると、コロリとものの見事にポールから落ちてしまいました。「私には無理だわ」そう思いました。その様子を見ていた教室の参加者は、「私たちも最初はそうだったのよ。すぐにできるようになるから」。「雪道でも転ばなくなるわよ。深呼吸と一緒にするとできるの。もう一度やってみて」。言われた通りにすると、今度は上手にできました。「すごい、一回でできるなんて」教室のみんなが喝采してくれました。たった1回の成功で気を良くした私たちは、コア体操を始めることにしました。

体操教室に通い始めてから3年になります。何事も始め善ければ続けられるのです。