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始め善ければ・・・

阿南 孝也

今日の心の糧イメージ

長崎の大浦天主堂は、江戸時代末期、パリミッションの宣教師たちによって、26聖人の殉教地である西坂の丘に向かって建てられました。

伝統的なヨーロッパの聖堂は、キリストに敬意を払い、ユダヤ地方、すなわちヨーロッパから見て東向きに建てられました。「東方」を表す「オリエント」という言葉が、キリストへ向かう「正しい向き」という意味を持つようになったのです。

毎年4月、真新しい制服に身を包んだ新入生を迎えます。良いスタートを切って充実した学校生活を送ってほしいとの願いを込めて、オリエンテーションを行います。オリエンテーションは、新入生が、オリエント、すなわち正しい方向に歩みを始めるよう導くためのものです。私は校長として「人の痛みに気づくことのできる人に、学ぶ楽しさを知る人になってください」と話をします。よい学習習慣を身につけ、学校行事やクラブ活動に積極的に取り組み、神様からいただいた能力を磨き伸ばしてほしい、試練に出会ったときも、真正面から受け止めて乗り越えてくれることを期待しています。

マルコによる福音書によりますと、イエス・キリストの福音宣教の第一声は、「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」(1・14)でした。「悔い改め」は、新約聖書が書かれた原語のギリシア語では「メタノイア」、これは、「考えや判断の視点や立場を移す」という意味の言葉です。西向きから東向きへ180度転換すること、自己中心の考えを改めて、神様を中心に据えることです。

新入生が、人の喜びを自らの喜びとし、互いに愛し合うことのできる豊かな心を持った青年として成長してほしい、心からそう願っています。