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始め善ければ・・・

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

わたしの兄は、わたしが子どものとき、よくわたしに口癖のように「終わり良ければすべて良し」と言っていました。そのとき、わたしはその言葉の意味がよく分かりませんでした。今は晩年を迎えて、その意味がよく分かるようになりました。「有終の美」という言葉もあり、やはり何事も最後が大事だと思います。けれども有終の美を飾るためには、最初がまた肝腎なのではないでしょうか。

わたしは昔、旧制中学生のとき、陸上競技部に入部していました。走りが早かったわけではなく、他に適当な部がなかったからです。

さて、陸上競技では、スタートダッシュが大切です。マラソンの時もそうですが、スタートに遅れると、それを取り返そうといくら頑張っても、他の選手も全力で走っているわけですから、先頭集団に追いつくことはほとんど不可能です。ですから、スタートを早くすることが肝腎なのです。先頭集団の中に入って走っていると、長距離の場合、途中で体力が落ちて遅れるようになることがありますが、トップを走っているランナーが視界に入っているので、余力が残っていれば、ラストスパートをかけることができます。

人生もマラソンのようなものではないでしょうか。だから、始めが肝腎と思って、善く生きるように努めるべきでしょう。

5歳ぐらいまでの子どもの養育や教育が極めて大切です。体も心も魂も健やかに育てれば、後は何も心配いらないでしょう。始めが肝腎で、小さいときに美しいものに出会わせるとか、良い本を読んで聞かせるとか、素晴らしい音楽を聴かせるとか、美味しい物を食べさせるとか、聖なる教会堂で座らせるとか、などの体験は、その子を素晴らしい大人にするでしょう。