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友好

岡野 絵里子

今日の心の糧イメージ

友好という言葉は、私たちの日常より、国際的な場において、多く使われる言葉のようである。現在、世界には196の国があり、国連には193カ国が加盟している。国連はこれらの国々の友好な関係のために、「友好関係原則宣言」という7つの原則を宣言している。それは例えば「武力行使、威嚇の禁止」であり、「国内問題不干渉」であって、国々が主権は平等に、また相互協力をするよう考えられたものだ。

私たちが友人を作る時は、何か約束事を決めて親しくなるわけではない。気が合う同士が何となく一緒にいて楽しいという、気楽な関係である。それでも、この友好原則を心のどこかに置いておくと大切な友人を傷つけずにすむように思う。

国家間の原則を人間同士の関係に言い換えてみると、友好原則はこんな感じになるだろうか。

1、暴力をふるわない、ふるうと脅すこともしない。2、何事も穏やかに話し合いで解決する。3、プライバシーに干渉しない。4、困った時は協力し合い、助け合う。5、権利を認め合う、自分のことは自分が決めてよい。6、全員が平等である。7、人としての義務を誠実に行う。

普段、学校や職場、近隣で私たちが心がけている人間関係の方法とは、発想の地点が異なるせいか、新鮮に感じられる。「プライバシーに干渉しない」で「助け合う」のは難しいし、友人グループ内で、いつも「平等」にすることは更に難しい。そして、「人としての義務を誠実に行う」者が友好、ひいては友情に値するという厳しさには驚かされる。

友好とは、何となく生まれるものではない、お互いを尊重する努力、まず自分が人として誠実であろうとする努力の上に姿を現すものなのだ、とこの宣言は私たちに教えてくれる。