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勇気を持って歩む

越前 喜六 神父

今日の心の糧イメージ

困難や試練に直面したとき、根が臆病な私は、すぐに好きな聖書の言葉を思い出して、勇気を奮い起こし、「当たって砕けろ」の精神でぶつかってきました。その結果、大変だったと経験したことは一度もありませんでした。すべてがうまくゆきました。

人生に壁というものはないのです。あるのは、「これはベルリンの壁よりも固く、とてもぶつかって通れるはずがない」と思い込んでいる私自身の意識、つまり考え方だけです。意識は出来事を造り出します。ですから、意識を変えることです。それには、勇気を与えてくれるような言葉に出会うことです。

人生の出来事には、吉凶禍福が、あざなえる縄のように「楽あれば苦あり」「苦あれば楽あり」と関連し合っています。

そんなとき、私はたとえば、旧約聖書の『ヨシュア記』にある、主なる神がモーセの後継者ヨシュアに、イスラエルの人々を今のパレスティナの土地に導き入れるように言われた時の言葉を、思い出します。それはこういう言葉です。「わたしはモーセと共にいたように、あなたと共にいる。あなたを見放すことも、見捨てることもない。強く、雄々しくあれ。・・ただ、強く、大いに雄々しくあって、わたしの僕モーセが命じた律法をすべて忠実に守り、右にも左にもそれてはならない。そうすれば、あなたはどこに行っても成功する。」という言葉です。(1・5~7)

この世で生きるということは、さまざまな艱難辛苦のある道を一人で歩いていくようなものではないでしょうか。神を信じ、祈りながら、ヨシュアのように勇気を出して前進するとき、すべての困難は消え失せ、堂々と進んでいくことが出来るでしょう。