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クリスマスとは

松村 信也 神父

今日の心の糧イメージ

あの日東日本を大震災と津波が襲った。一瞬にして逃げ惑う人々、年老いた人々、倒壊した家屋、波打っていた農地、すべてを海は持ち去っていった。

その翌日、無くなってしまった家屋、畑の跡地を呆然と眺めていた老夫婦が、涙ながらに叫んでいる姿が映し出された。「俺たち、これまで何んも悪いことをしていないのに、ただ一生懸命働いてきただけなのに、どうしてこんな目にあわなきゃいけないんだ!」。あの老夫婦の叫び声は、今も耳から離れない。

こんなことがあっていいのか、人生って一体なんなのか、生きるって一体なんなのか。あの叫びを聞かされ、再び「生きる意味」について問い直させられた。

あの日の強烈な問いかけは、日が経つにつれ忘れかけようとしていた。生きる意味の問いかけを忘れたかったからではない。毎日生きる意味を問いかけながら日々の生活を歩んではきたが、まだ、生きる意味を十分に満たしていなかったからだ。

どんなときにも人生には意味がある。あなたを必要とする何かがあり、あなたを必要とする誰かがいる。その何かや誰かのために、あなたにもできることがある。たとえ今、あなたがどんなに苦しくても、決してあなた自身を投げ出してはいけない。苦しいけれど、悲しいけれど見上げてごらん、あなたの見上げるその先に小さな星が一つ、また一つ輝いているよ。

こんな人生、希望のない人生、生きる意味がないなんて言わないで、悩まないで、少し開き直って見上げてごらん。

あなたの心に光を届けたいと願い続ける誰かが居ることに、気づいていますか。その届け主が、この世に来られる。イエス、神の救いは、真夜中、闇を選ばれた。その特別な時、救い主イエスは、あなたの中にお生まれになる。