第109課 イエズスの裁判(マタイ 26・47~68)

 ゲッセマネの園でお祈りになっているイエズス様を逮捕する為、イスカリオテのユダの案内でイスラエル人の大祭司たちから遣わされた大勢の人々が剣や棒を持って、ゲッセマネの園に入って来ました。来る途中でユダは彼らがイエズス様を確認するための合図として、「わたしがせっぷんする者が、その人だ。その人を捕まえろ」と一緒に来ている人たちに言いました。

 ユダがイエズス様に近づいてせっぷんすると、ただちに人々はイエズス様を逮捕し、大祭司のカヤファの家に連れて行きました。するとイエズス様が前に預言なさったように弟子たちは皆逃げてしまいました。

 もうすでに夜もふけていましたが、カヤファはすぐに律法学者と長老たちを集めて裁判を開きました。何人もの偽りの証言をする人がそこに出てイエズス様の悪口を言いましたが、死刑に値するような証拠は何も出て来ませんでした。

 しかし、最後にカヤファはイエズス様に向かって、「生ける神に誓ってわれわれに言え。おまえは神の子、メシアか」と言いました。これは「あなたは神であるか」ということを意味します。イエズス様が「あなたの言うとおりである」とおっしゃると、カヤファは、「この人は冒涜の言葉を吐いた」と言って、集まっている人々に「これをどう思うか」と聞きました。彼らは声を揃えて「死に値する」と答えました。

 イエズス様は神殿で教えられた時、ご自分が神であることをはっきり述べられましたが、そのために、この裁判の時に死刑の宣告を受けられました。もしもイエズス様が偽って神であるとおっしゃっているなら、その時、ご自分の命を守るために神であることを否定なさったはずです。しかし、その時でもイエズス様はご自分が神である事実をはっきりと肯定なさいました。従ってキリスト信者はイエズス様を神様として信じ、そのみ教えを全部、神様が教えられた誤りのない真理として認めるのです。

(つづく)