第102課 香油を注がれるイエズス(ヨハネ 11・54~12・11)

 イエズス様はベタニアの町でラザロを復活させられてから、エフライムの町へ行かれ、しばらくの間、弟子たちと一緒にそこに滞在なさいました。しかし過越の祭りが近づいた時、もう一度ベタニアヘお戻りになりました。

 そこである日イエズス様が弟子たちと食卓につかれた時、ラザロの妹マリアは非常に高価な純粋のナルドの香油をイエズス様の足に塗り、自分の髪の毛でその足を拭きました。

 それを見たイエズス様の弟子の一人イスカリオテのユダは「なぜ、この香油を300デナリで売って、貧しい人々に施さなかったのか」と文句を言いました。聖書にはユダがそう言ったのは、貧しい人々のことを考えたからではなく、イエズス様と弟子たちのお金を預かっていながら、その中身を盗んでいた泥棒だったからである、と書かれています。

 イエズス様はユダに答えられて、「この女のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それを取って置いたのだから。貧しい人々はいつもあなたたちと一緒にいるが、わたしはいつも一緒にいるわけではないのだ」とおっしゃいました。

 もちろんイエズス様がそうおっしゃったのは、貧しい人々に関心がなかったからではありません。ユダが貧しい人々のためでなく、香油の売上金を盗んで自分のものにしたいためにその香油を売りたいと思ったこと、それに対して、マリアが愛の心からイエズス様の足に香油を塗ったことをイエズス様はご存じでしたので、ユダをいましめられて、マリアをほめられたのです。

(つづく)