第89課 金持の青年(マタイ 19・16~26)

 イエズス様はジェニンの町を出てヨルダン川の東の方のペレアという国ヘ行かれました。そこで1人の金持の青年がイエズス様に近寄って、「先生、永遠のいのちを得るには、どんな善いことをしたらいいでしょうか」と尋ねました。

 イエズス様は「もしあなたがいのちに入りたいならば、おきてを守りなさい」とお答えになりました。青年が「どのおきてですか」と聞くと、イエズス様は、旧約聖書を引用なさって、「殺してはならない。姦通してはならない。盗んではならない。偽証してはならない。父母を敬え。また、隣人を自分のように愛せよ」とおっしゃいました。

 青年は「わたしはそれらを皆、守っています。まだ何か欠けていることがありますか」と聞きました。するとイエズス様は、「もし完全になりたいならば、帰って、あなたの持ち物を売り、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を蓄えることになる。それから、わたしについて来なさい」と答えられました。その青年はこの言葉を聞いて悲しくなり、去って行きました。

 そこで、イエズス様は弟子たちに、「金持が天の国に入るのは、むずかしいことである」とおっしゃいました。もちろんイエズス様はお金そのものが悪いとおっしゃったのではありません。ただお金に執着することはいけないとお教えになったのです。その青年はイエズス様の特別な弟子、聖人になるように招かれましたが、お金の方がもっと大切で価値があると思いましたのでその招きを断りました。

 お金が一番大事だと思う人は、お金の奴隷になって、神様のしもべになることができません。ですから、そのような人は救われにくいと、イエズス様はおっしゃいました。お金がたくさんなくても、お金が第一と思うならば、お金にしばられて、神様のみ教えに従う自由がなくなります。現代にはそのような人が多いと思います。反省すべきことです。

(つづく)