第88課 感謝するサマリア人(ルカ 17・11~19)

 イエズス様は旅をお続けになってサマリアとガリラヤの境にあるジェニンという町にお入りになりました。そこにはイエズス様がおいでになることを聞いた10人のハンセン病患者がイエズス様を待っていました。その当時、ハンセン病を患っている人々は一般の人に近づくことを許されませんでしたから、彼らは遠くから大声で「先生、わたくしたちをあわれんでください」と叫びました。

 イエズス様は彼らをご覧になって、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」とおっしゃいました。イエズス様がそうおっしゃったのは、旧約聖書にハンセン病患者は病気がなおった時、祭司からなおったという証明を受けなければならないと書かれているからでした。(レビ記14・1~32)

 10人の患者は行く途中で皆清くなりました。そのうちの1人はサマリア人でしたが、彼は自分がいやされたことに気づいて、すぐにイエズス様のところへ戻り、神様を賛美しながらイエズス様に感謝しました。

 するとイエズス様は「清くなったのは10人ではなかったか。他の9人はどこにいるのか。神を賛美するために帰って来たのは、この1人の他国人のほかにだれもいないのか」とおっしゃいました。それからイエズス様はそのサマリア人に「あなたの信仰があなたを救ったのだ」とおっしゃったのです。

 いやされた10人のうちの1人の感謝にイエズス様は喜ばれましたが、あとの9人が感謝しなかったことに悲しまれました。

 感謝することは恩人に対する愛のしるしです。恩を知らない人は自分の利益しか考えませんし、人を愛することができません。感謝しなかった9人の患者は自分の健康のことだけを考えて、愛の心がなかったのでイエズス様はお悲しみになり、感謝をあらわした1人だけに、あなたは救われたとおっしゃったのです。

(つづく)