第73課 神殿の税金(マタイ 17・24~18・4)

 タボール山のふもとで悪霊を追い出された後、イエズス様は弟子たちと一緒にカファルナウムヘお帰りになりました。そこである人々が彼らに神殿の税金を払うように頼みました。イエズス様は神の子、救い主ですから、もちろん神殿の税金を払う義務はありませんでしたが、問題を起こさない為に税金を払うことをお決めになりました。

 ところが、税金を払うお金がありませんでしたので、イエズス様はペトロに「湖に行って釣り糸を垂れなさい。最初に釣れた魚を取って、その口を開けると、スタテル銀貨が1枚入っている。それを取って、わたしとあなたの分として彼らに与えなさい」とおっしゃいました。

 それからのち、弟子たちはイエズス様に近寄って、「天の国ではだれがいちばん偉いのですか」と尋ねました。するとイエズス様は一人の小さい子供をお呼びになって、「あなたたちは心を入れかえて幼な子のようにならなければ、天の国には入れない。だから、自分を低くしてこの幼な子のようになる者が、天の国でいちばん偉いのである」とおっしゃいました。イエズス様がペトロをご自分の代理者として教会の頭にお定めになったことから、他の弟子たちが嫉妬心を起こし、誰が一番偉大な人であるかを尋ねたのかもしれません。一般の社会では上の立場に立っている人が偉大な者であるかのように思われていますが、天の国つまり天国と地上での偉大な者の価値は違うのです。イエズス様は天国においては子供のように謙虚で、素直な心をもって神様のみ教えを聞き、そしてそれを実行する人が偉大な人であると教えておられるのです。

(つづく)