第56課 隠された宝と高価な真珠(マタイ 13・44~46)

 イエズス様は種にまつわる四つのたとえ話を述べられた後、最後に次のたとえ話をなさいました。

 「天の国は畑に隠されている宝に似ている。それを見つけた人はそのまま隠しておき、喜びのあまり、持ち物をことごとく売り払い、その畑を買う」

 「また、天の国はよい真珠を捜し求める商人に似ている。その人は高価な真珠を一つ見出すと、持ち物をことごとく売りに行き、そしてそれを買う」

 この二つのたとえ話は大事なことを教えています。すなわち、永遠の救いを得るためには、どういう態度を取るべきかということです。

 天の国は「隠されている宝」、また、「高価な真珠」に似ているとイエズス様はおっしゃいました。その宝を得るために、ある人は自分のすべての持ち物を売って宝が隠されている畑を買いました。また、別の人は、その真珠がどうしてもほしいので、自分の持ち物を全部売って真珠を買いました。同じように、天の国に入って永遠の救いを得るためには、私たちは自分のすべてを犠牲にする覚悟が必要であると、イエズス様はお教えになったのです。

 大事だと思うもののために犠牲を払うのは当然です。お金が一番だと思う人は、いろいろの形でお金のために犠牲を払います。これは本当の幸福を私たちに与えることのできないもの、一度手に入っても最後になくなるもののために払っている犠牲です。それに対して、天の国、つまり、天国に入ると、無限の、終わりのない幸せを経験することができるのですから、犠牲を払って霊的な生活をおくり、その幸せを手に入れるように努めるべきです。イエズス様が二つのたとえ話によって教えられたのは、このことなのです。

(つづく)