第51課 ナインのやもめの息子(ルカ 7・11~17)

 イエズス様は、ガリラヤの北の方で山上の説教を述べられた後、弟子たちと一緒にガリラヤの南の方のナインという町へ行かれましたが、その町に行かれる途中、ある行列をご覧になりました。それは葬式の行列で、聖書によりますと、あるやもめのひとり息子が死んで運び出されるところでした。

 その時、二つの行列が同じ道を向かいあって進んでいました。一つは死を悲しむ行列で、もう一つは命を与えるイエズス様の行列でした。二つの行列は丁度ナインの町の門の前で出会いました。

 イエズス様は、息子を亡くして泣いている母をご覧になって、あわれに思われ、「泣くことはない」とおっしゃって、棺に手をお触れになり、「若者よ、わたしはあなたに言う。起きなさい」とおっしゃいました。

 そのあとの様子は聖書に次のように書かれています。「死人は起きあがって口をきき始めた。そこで、イエズスは息子をその母にお渡しになった。人々は皆恐れを抱き、神をほめたたえて、『偉大な預言者がわれわれの間に現われた』とか、『神がその民を訪れてくださったのだ』とか言った。イエズスについてのこのうわさは、ユダヤ全土と周囲の地方に、あまねく広まった」

 このように、イエズス様はその息子を奇跡的におよみがえらせになったのです。イエズス様はそれまでにも何回も病気で苦しんでいる人々をおあわれみになり、彼らを奇跡的においやしになりました。しかし、ナインの町では初めて死人を復活させられたのですから、その出来事を見た人たちが感激したのは当然のことでした。

(つづく)