第19課 役人の息子(ヨハネ 4・43~54)

 その後、イエズス様はナザレの町から近くのカナの村へ行かれました。そこはイエズス様が水からぶどう酒をお作りになり、初めての奇跡を行われた所です。

 イエズス様がそこにいらっしゃる間に、カファルナウムの町から一人の役人がイエズス様を訪ねて来ました。その人の息子は病気で死にかかっていました。この父親はイエズス様に、早くカファルナウムの町へいらして、子どもを治してくださるように頼みました。

 イエズス様は「あなたがたは、しるしや不思議なことを見なければ、決して信じようとはしない」とおっしゃいましたが、役人は「主よ、子供が死なないうちに、下って来てください」と熱心に願いました。イエズス様は小さな声で「帰りなさい、あなたの息子は生きる」とおっしゃいました。

 役人はイエズス様の言葉を信じてカファルナウムの町へ帰りましたが、その途中出迎えた彼のしもべたちから子供が元気になったと知らされました。父親が子どもは何時頃よくなったのかと聞きますと、しもべたちは「昨日の午後1時に熱が下がりました」と答えました。それはちょうどイエズス様が「あなたの息子は生きる」とおっしゃったのと同じ時間でした。

 役人は急いで家に帰りました。聖書によりますと、その時から彼とその家族の人たちは皆、イエズス様を信じるようになりました。子どもが元気になったので、家族の人たちは大変喜んだでしょうが、その時、彼らはそれよりももっとすばらしい恵みを受けたのです。それは信仰の恵みです。

 病人は、一度よくなっても、いつかはまた病気になって、最後には必ず死にます。しかし、イエズス様に対する信仰によって与えられる霊的な生命は永遠に生きるのです。

(つづく)